目次
●1 「合格実績=塾の指導力」という誤解…1967年~1981年 東京都の教育実験
●2 教えることが学力差を拡大する…一斉授業の自己矛盾…1982年 教育政策研究所の調査
●3 学力向上のカギは「説明よりも問題演習の反復」…説明と問題演習の最適な時間配分は3対7
●1 「合格実績=塾の指導力」という誤解…1967年~1981年 東京都の教育実験
1964年当時、日比谷を筆頭に、西、戸山、新宿などの東京都立高が東大合格者を占めていました。受験戦争の緩和を目的として、これらの都立進学校に「優秀な生徒」が集中しないようにと、東京都は1967年から1981年に「学校群選抜制度」を実施しました。
しかし、この年を境に、優秀な生徒が都立高を避けて中高一貫の私立高へ移ったため、都立高の東大合格者の減少が始まります(1971年)。代わって、灘・開成・麻生など中高一貫の私立高が伸びてきます(1999年)。
東京都は「受験戦争の緩和」という当初の目的には失敗しました。しかし、副産物としての「合格実績は、生徒の素質か、先生の指導力か」を判定できるこの教育実験から、次の結論が導かれます。
・「現在、私立が大学受験で成果を上げられるようになったのは、もともと優秀な子どもがたくさん入学してくれたからで、私立自体の努力だけでは、そうはいきません。よい素材をかつては公立校が独占していたのを、今は私立がとってかわっただけのことです。・・・私立桐蔭学園校長(当時)鵜川昇」 [NHK教育プロジェクト、秦政春共著『公立中学はこれでよいのか』日本放送出版協会 1992年]
・「難関大合格実績の7割は生徒のレベルで決まると言われます。かつて東大合格者ランキング1位の常連だった日比谷も、教員は一緒なのに学校群選抜で生徒のレベルが均質化された途端に合格実績が落ちました」[サンデー毎日2009年4月19日号]
大手学習塾・予備校での合格実績は、どの学力レベルの生徒も伸ばした結果ではなく、多教室展開と多額の広告費によって「優秀な生徒」を集めて指導した結果なのです。
「多教室展開と多額の広告費」という経営方針を取る理由を説明しましょう。優秀な生徒が他塾に行ってしまうと、後でその塾の合格実績に上乗せされる恐れがあるからです。例えば、灘中合格数が20人対20人の競合するA,
B2つの塾があったとします。「多教室展開と多額の広告費」をケチったために、優秀な小4生の5人が対抗する塾に入塾したとします。3年後の灘中合格実績はA塾25人対B塾15人と、5人の2倍の10人の差になるからです。
しかし、「多教室展開と多額の広告費」は塾にとっては財政的に大きな負担になります。この財政的負担はだれが負担するのでしょうか。中位生や下位生ではないでしょうか。
当塾の指導方針
優秀な子どもに合う指導方法が、勉強の苦手な子どもにも合うとは限りません。これを学習心理学では「適性処遇交互作用(学習者の適性によって、指導(処遇)
の効果が異なること)」と呼んでいます。当塾では、「問題演習の正答率が8割の指導」がその子にもっとも適した指導レベル、と決めています。8割未満だと復習を増やし、8割を超えるようだと、速く進むか難しい問題を指導するように、調整しています。
当塾は「私が支払った月謝は、合格実績を上げられるよその子ではなく、うちの子のために使ってほしい」という保護者の切実な願いに、お応えしています。
●2 教えることが学力差を拡大する…一斉授業の自己矛盾…1982年 教育政策研究所の調査
(1)学年の枠をはずした「学力差の実態調査」
国立教育研究所(現、国立教育政策研究所)は、1982年の学年末2月~3月に、算数と国語のテストを小1~6年生約5,000名(学習障害児を除いた「通常の学級」に通う生徒を対象)に実施し、報告しています(天野清、黒須俊夫著『小学生の国語・算数の学力』秋山書店、1992年。…この本は大津市瀬田にある滋賀県立図書館にあります。三田から往復7時間かかりました。このような学力差についての本格的な実態調査は、日本では行われていませんでした。この本を読んで、当塾は一斉授業から個別指導への転換を決めました)。
このテストは、国語・算数ともに、他の学年と重複しないようにその学年で習った内容だけで作られた「学年末まとめ問題」の6学年分をホッチキスで留めて「共通テスト」として、ポンと小1~小6までの生徒に渡し、これ以上時間をかけても解けないというほどのテスト時間を与えて、行われました。
通常の学年別テストでは、学年平均よりも20点多いとか、少ないとかが分るだけです。しかしこの「共通テスト」では、例えば「6年生A君が130点の時、5年生の平均得点330点を下回っているのでA君は1年の学習の遅滞があり、さらに4年生の平均得点240点を下回っているのでA君は2年の学習の遅滞があり、さらに3年生の平均得点150点を下回っているのでA君は3年の学習の遅滞がある」として、得点差を遅滞学年差に換算できるようにしています。(上記の2つの図表)
上の図表は、教育政策研究所の図表と5段階評価を比べたものです。5段階評価で1,2の児童は1年から3年の遅滞がありそうです。
当塾の指導方針
中学校の実力テスト・業者の兵庫県公立高校入試対策模試などを使って、入塾テストをしています。例えば、このテストで、数学が5段階評価2の中3生であれば、入塾時に中1・2に戻って指導できるように、授業前に、最適な教材・指導法を準備して、授業中に教材探しで手間取り、貴重な授業時間を損なわないようにしています。
(2)学年が進むにつれて学力差が広がる。小6生には学年末の時点で、6年間の学力差がある。
小学校では「速くテストができたら校庭に出て遊んでよろしい」と、上位生を足踏みさせます。もし、進学塾のように上位生に、次学年以降の学習内容をどんどん教えたなら、通常、学力分布は、富士山のような左右対称形になります。
上記の図表から国語の場合、小6生で1年の遅滞16.0%、2年の遅滞5.7%、3年の遅滞3.1%ですから、左右対称形の得点分布を仮定して、遅滞分をそのまま先行分として折り返すと、1年の先行16.0%、2年の先行5.7%、3年の先行3.1%となるはずです。すなわち、小6生には、小3から中3までの約6年間の学力幅があることになります。
算数の場合も同様に、左右対称形の得点分布を仮定して、遅滞分をそのまま先行分として折り返すと、国語の場合と同じく、小6生には約6年間の学力幅があることになります。
念のために、他の資料で確認しましょう。アメリカでの「学力の幅」について、上智大学名誉教授の加藤幸次氏は、著書『少人数指導・習熟度別指導』ヴィヴル、2004年(三田市立図書館蔵)の中で、「学力の幅についてはもう一つ、『当該学年の幅』という考え方があります。これは、学年が上に上がるほど学力の幅が拡がると考えるものです。たとえば、小学校六年生に関しては『六年間の幅』ですが、高校1年生の場合は第十学年だから『十年間の幅』になるわけです。この考え方も実感できるのではないでしょうか」と述べています。
(3)教えることが学力差を広げる…一斉授業の自己矛盾
「教えることが学力差を広げる」。これを確かめるために、東大を目指して一番多く教える学校である灘高の2022年大学合格者数(晶学社・兵庫模試事務局発行「進学データ集」令和5年春用)を調べてみましょう。東大92名,京大48名、…立命館大20名、関西大5名、近畿大6名、関西学院大8名(参考;地元三田市の有馬高校はこの年、関西学院大32名合格)。東大から関西学院大までのすさまじい学力差です。
学力はお城の石垣のように「積み上げ」ですから、一度つまずくとそれから先へ進めなくなります。しかも、授業進度が速いと、置き去りにされます。こうして、一斉授業では学力差が広がるのです。本来は、広がる学力差に伴って、クラス分けを増やすべきですが、講師数、教室数を増やすことになり、塾や学校の経営を悪化させるのです。対策として、つまずいた生徒を居残らせて指導すると、学習に拘束する時間が増えて、かえって勉強嫌いにしてしまいます。
以上が「教えることが学力差を広げる …一斉授業の自己矛盾」の説明です。
学校・塾にとっては、合格実績を上げれば「この学校・塾は指導力がある」と保護者・生徒に認知されて、宣伝効果が上がるという一面があります。さらに、成績が伸びない生徒がいても、合格実績を後ろ盾にして「成績を伸ばした生徒が多数いるのだから、伸びなかったのは、お宅のお子さんが悪い」という保護者への自己責任に転嫁できます。「教え方が悪い」と、学校・塾に怒鳴り込まれる恐れも少なくなります。
こうして、ついてこれない生徒がいても、合格実績を重視し、優秀な生徒を集めるための多額の広告費を投入する事になります。
当塾の指導方針
「一斉授業では、先生が一生懸命教えることが、結果として学力差を広げ、一斉に教えることがより困難になり、ついてこれない生徒を切り捨ててしまう。…一斉授業の自己矛盾」に気づき、「どの生徒にも指導が公平に行き渡るように」と、40年ほど前に個別指導に切り替え、「個別指導は月謝が高い」という壁に挑戦して、「家庭教師よりも高品質で、一斉授業よりも安価」を目標に膨大な試行錯誤を続けて、今日に至ります。
余談)個別指導の進歩を甘く見ないで下さい。
理由① 一斉授業では、クラスの全生徒を伸ばす指導が困難です。クラス内の中位生に合わせると、上位生には易しすぎるし、下位生には難しすぎることになります。このような理由で、1つのクラスの中のどの生徒にも合う指導法の開発が困難です。一方、個別指導ではどの生徒にも合う指導法の開発は簡単です。
理由② 一斉授業では、同じ項目の指導回数が1学年に1回しかありません。一方、個別指導では、生徒の数だけ指導回数があるのですから、教えるごとに指導法の工夫ができ、その工夫した指導法の良し悪しが次に指導する生徒で、確かめられるのです。当塾では、この方法で、今日まで膨大な頻度で教材を改良してきました。
(4)遅滞がある児童の追跡調査
前述の『小学生の国語・算数の学力』では、「学習に遅滞がある児童のその後の学習」状況を知るために、追跡調査をして以下のような報告をしています。なお、本報告中の評価とは、5段階評価のことです。
・1 小学2学年で1年の遅滞が認められた児童は、国語、算数ともに、学習遅滞の状況は改善されず、6年までその状態が継続される。国語については、学習遅滞の状況は、むしろ一層悪くなるという傾向が認められる。
・2 小学校第4学年で、1学年もしくはそれ以上の学習遅滞が認められた児童については、6学年までに改善される場合が、若干(10~15%程度)認められるが、そのほとんど(85~90%)は、6学年が終わるまで、学習の遅滞の状況が継続する(評価は1あるいは2)。
・3 小学校第6学年で、2年以上の学習遅滞が認められた児童については、中学校に進学して学習が改善される場合が、若干(10%程度)認められるが、そのほとんど(90%程度)は、中学の全期間を通して学習遅滞の状況(評価は1ないし2)が継続する。
・4 小学校第6学年で1学年の学習遅滞が認められた児童については、中学校で評価4を受けるようになる場合が、ごくわずか(5%程度)認められるが、その多く(国語では約65%、算数では75%)は、中学校期間も、
(評価は1もしくは2)の状況が継続して続く。(筆者注:「算数」は中学では「数学」となります)
要するに、算・国の学習が学年末の3月時点で1年間遅れている小2・4・6生は、その後も約7割以上の高い割合で学習遅滞の状況が継続するとの報告です。学年が進むにつれて学力差が広がり、上位・中位・下位に属する生徒をほとんど入れ換えることなく、時間とともに学力差を拡大していることになります。
このような学力差の固定を証明する資料を2つ挙げましょう。1つは、晶学社が実施する兵庫模試です。例年、この模試では、早々と中学1年生の8月末に行われる模試の成績から、2年半後の兵庫県立高校入試の合否判定を出してきました。ということは、「中学1年生の8月末の成績が2年半後も維持されることを、統計的に確認できる」ということでしょう。2つ目は、各高校の入試偏差値と大学合格者数の相関です。毎年週刊誌には、大学合格者の出身高校が発表されます。上位大学には上位高校出身者が合格しています。
これらの資料を読み返すたびに、私自身「成績を上げるのは、甘くはない」と気を引き締めています。「受講日を増やして、頑張りたい」、「無理かもしれないが、この高校に行きたい」というご要望があると、「じゃあ、翌月から」とは決して言いません。「じゃあ明日から、頑張ろう」です。「成績を上げるのは、甘くはない」のですから、「すぐやる」です。
当塾の指導方針
下位生でも伸ばせるようにと、受講回数を増やしていただけるように、工夫して月謝を安くしています。さらにやる気のある生徒には、宿題をたくさん出します。伸ばすのが塾の仕事ですから。夏期・冬期・春期講習は必ず受講してください。学校がないこの期間は、後れを取り戻すことに注力できる絶好の機会です。
●3 学力向上のカギは「説明よりも問題演習の反復」…説明と問題演習の最適な時間配分は3対7
学力を上げるには、「説明」か、それとも「問題演習の反復」に時間をかけるべきか。これを判断するため、長年教育現場で生徒指導に当たってきた3人の専門家の意見を調査しました。
新聞 に、ベネッセコーポレーション福島保社長と記者の次のような対話が載っています(朝日2008、1、23)。
「紙の通信教育はもう時代遅れですか。」―「そうではありません。学習の基本は紙に書くこと。ノートを取って、問題集を反復練習しないと実力はつかない。」
ベネッセコーポレーションは、通信添削の会員数では、幼児、小中高校生合わせて391万人を有する通信教育事業会社です。学力向上のノウハウを多く蓄積しているはずです。そのトップとして、「ノートに書いて、問題集を反復練習」との意見は尊重すべきでしょう。
次に、渡辺寿郎著『英語構文必修101』(増進会出版社 2004年)の序文には「やがて英語の教師になって、県下随一の進学校であるF高校へ赴任しました。驚いたのは、生徒が優秀なのに、文法演習問題のぎっしり詰まったガリ版のプリントを、毎時間1枚集中して行っていたことです。文法は、通り一遍の理屈をいうよりも、大量のドリルのシャワーを全身に浴びるほうが身につくことを、この時学びました。」とあります。ここでも「通り一遍の理屈(説明)」よりも「大量のドリル(問題演習)」を強調しています。
最後に、多くのベストセラー問題集を著している上垣暁雄氏の『即戦ゼミ11大学入試ベストポイント英語頻出問題740』(桐原書店 2005年) の序文です。「本書は,大学を受験する皆さんが、大学入試に必要な基礎学力を身につけることを目標に作成しました。受験生の皆さんが、短期間で大学入試に必要な英語力をつける最も効果的な方法は、頻出問題を知り、繰り返し学習することであると思います。」とあります。ここでも「頻出問題を、繰り返し学習すること」と述べています。
池谷裕二東大教授著『脳には妙なクセがある』(扶桑社 2013年)に、「勉強は、教科書を復習するより、問題を解くほうだ効果的だ」という米パデュー大学のカービック博士らの研究を紹介しています。この記述は、以降の勉強法を紹介する市販の書物に頻繁に引用されていて、現在では「教科書を復習する時間と問題を解く時間の割合は、3対7がベスト」という表現が定着しています。
これは学力向上に直結する重要事項なので、もっと具体的に説明しておきましょう。単語帳を見たり、教科書を読んだり、先生の話を聞いたりするのに使っている時間の2倍以上を問題演習に使っている人こそが、高い学習効果を得ているということです。
ここで言う「問題演習」とは、覚えたり理解したことを「使う」ことを意味します。例えば、覚えた英単語を使って作文したり、教科書や本で読んだ情報を自分なりの言葉に変えて誰かに説明したり、先生から教わった情報に基づいて問題を解いたりすることです。
以上をまとめると、「説明」よりも「問題演習の反復」が、学力向上への最短コースということになります。保護者や生徒の錯覚として、「講師の説明がうまければ、スイスイと頭に入って、自然に覚えられ、たいして問題演習をしなくても問題が解けるようになる」と思いがちです。しかし、教えた内容が生徒に定着し、学力がつくのは、やはり「問題演習の反復」です。講師の説明中は、自分の頭で考えなくても勝手に答えが出るので、脳は楽をしてしまい活性化されないからです。
「個別指導は、高いだけで伸びない!?」というご不満を、よく耳にします。前述のように、学力向上効果の高い「問題演習の反復」をさせれば、生徒は忘れません。生徒からの質問も減ります。学校の勉強も分ってきます。その結果、ますます説明時間が短縮でき、「問題演習の反復」に注力できます。反対に、「問題演習の反復」を削って、学力向上効果の低い「説明」に、時給の高い講師が時間を費やすから、いつまでたっても生徒は伸びず、「個別指導は、月謝が高いだけで伸びない」と言われるのです。
当塾の指導方針
「説明→演習→進級テスト→宿題 」 によるキッチリ指導することにより、「新項目の説明」のしっぱなしではなく、「演習→進級テスト→宿題」と3回の「問題演習」の機会取り入れています。
さらに、これ以降は、1か月経つとすっかり忘れて、再度説明をすることになるので、忘れる前に宿題を出しています。「忘れる前に反復演習 」で、学力の定着を図っています。
●4 効率の良い学習方法とは?…「ラーニングピラミッド」 2018.11.10
様々な学習方法の中で、どれが効果的なのか。「ラーニングピラミッド」というアメリカ国立訓練研究所が発表した学説をご紹介します。
ラーニングピラミッドとは、現在行われている7つの学習方法(①講義:授業や講義を聞いて学ぶ。説明を受ける)(②読書:教科書や書籍を読んで学ぶ)(③視聴覚:ビデオや写真を見て学ぶ)(④デモンストレーション:実験などの実演を見て学ぶ)(⑤グループ討論:与えられた課題をグループで議論する)(⑥自ら体験する:問題演習)(⑦他人に教える:覚えたことを他人に教える)を記憶定着率順に並べたものです。
例えば、講義を聴くだけでは記憶定着率が5%、問題演習など自ら体験すると75%。実に「⑥自ら体験する」は「①講義」の15倍の記憶効果があるということになります。
ただし、この定着率は、実験などによって確かめられた数字ではありません。しかし①から⑦の記憶定着順は、多くの人が見てもほぼ正しいと考えられます。実際『脳には妙なクセがある』池谷裕二東大教授(脳科学研究)扶桑社2014年 には、「勉強は、教科書を復習するより、問題を解くほうが効果的だ」と、同様の研究結果を述べています。
これらのことから、記憶定着効果の高い「問題演習」をすれば、生徒は忘れません。質問も減り、学校の勉強も分ってきます。この結果、ますます説明時間が短縮でき「問題演習」に注力できます。反対に、「問題演習」を削って、「分るまで何度でも教える」といって、効果の低い「説明」に、時給の高い講師が時間を費やすから、いつまでたっても生徒は伸びず、「個別指導は、月謝が高いだけで伸びない」と言われるのです。
当塾の指導方針
「一度理解させた」ら、「忘れる前に、反復演習をさせる」です。生徒一人ひとりの「忘れる時間」を記録して、最適の反復間隔を割り出し、指導効果を上げるようにしています。
参考までに、追加します。
⑦(他人に教える:覚えたことを他人に教える)が記憶定着率90パーセントです。ということは、生徒に教える仕事をしている講師が、一番記憶の定着によいことをしているのです。塾長一人で中学の5教科指導していても不思議はないのです。仮に中3生が6人いたとすると、年に6回も同じことを指導するのですから、反復回数だって半端じゃないのです。
- ●5 効率の良い学習方法とは?…「音読」の勧め 2019,1、20
様々な学習方法の中で、どれが効果的なのか。「音読」という古くて新しい方法をご紹介します。
音読で使用される感覚は「文字を読み取る視覚」と「それを再び聞く聴覚」。そして、音読で生じる処理は、「文字を読み取る」「読み取った文字を文章として理解する」「理解した文章を声に出す」「声に出した文章を音として聞く」「音として聞いた文章を再び理解する」と、5つにわたります。
音読はこのような多くの処理を瞬時に行っているのです。音読学習は密度の濃い学習なのです。近年、科学的に再評価されています。
当塾の指導方針
10年前から、音読の学力向上効果に注目し、ICレコーダーを全生徒分用意して、「英語教科書の音読」を指導後に、「進級テスト」として取り入れています。発音がおかしいと再テストする羽目になるので、生徒の皆さんは真剣です。この音読テストで、ずいぶん発音がよくなりました。
発音に自信がつくと、音読して英単語を覚えたり、学校で先生に当てられても堂々と英文を読んだりできます。音読は英語が得意になる第一歩です。
兵庫県公立高校入試問題に、次のようなリスニングの読み取りテストが出題されました。発音された「ライブラリ ,ルール」の綴りを書け、という問題です。正解は「ライブラリ
library,ルールrule」ですから、lとrを正しく発音して覚えないと得点できません。bとv, thとsも同様です。普段から正確に英文を発音しているか、問われているのです。
最近では、「音読目標時間」を設定して、「速読」を促しています。中間・期末・高校入試でのリスニングテストが速くて聞き取れないからです。生徒たちはタイマーを片手に、設定された音読時間を目標に、速読を繰り返しています。速読練習で、「英単語の発音が覚えられる。リスニングテストが聞き取れるようになる。英文の暗記も自然に習得できる。高校入試頻出の英語長文が、短時間に読解できるようになる。」 このように、速読は一石四鳥です。
このような「個々の生徒の速読チェック」は、個別指導塾しかできません。一斉授業では無理でしょう。
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最後までお読みくださいまして、有り難うございます。上記は、学院長の電子書籍『どの子も伸ばせる指導法』楽天kobo、グーグルブックス 2011年版を基に、加筆したものです。